妊娠前半期および後半期の骨密度変化に及ぼすカルシウムおよびたんぱく質摂取量の影響
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概要
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目的 妊娠前半期および後半期における骨密度変化率とカルシウム(Ca)およびたんぱく質摂取量との関係を骨代謝指標との関係も含めて検討する。<br/>対象と方法 平成18年 7–9 月および平成19年11月–20年 1 月に奈良市内の 1 産科を受診した妊娠16週以下の妊婦40人を対象に超音波法による骨密度測定および血液,尿中骨代謝指標の測定を妊娠のほぼ初期(11–16週),中期(24–28週),出産時の 3 回,食事状況および歩数調査を妊娠前半期と後半期の 2 回行った。妊娠前半期,後半期および全期間における骨密度変化率と Ca およびたんぱく質摂取量との関係を骨代謝との関係も含めて分析した。<br/>結果 種々の要因を考慮した重回帰分析で,前半期および後半期の骨密度変化率に対して,それぞれ同時期の Ca 摂取量はいずれも有意の正の関連,たんぱく質摂取量は負の関連またはその傾向が認められた。前半期および後半期とも,Ca 摂取量の影響を調整した骨密度変化率はたんぱく質摂取量が多い場合は少ない場合より有意に低かった。Ca 摂取量は前半期では血清 Ca/P,後半期では血清骨型アルカリフォスファターゼ/尿中 NTX(N-terminal crosslinking telopeptide of type I collagen)と有意の正相関,たんぱく質摂取量は前半期では血清 Ca/P と有意の負相関が認められた。<br/>結論 妊娠前半期および後半期において,各時期の Ca 摂取量が少ないほど,たんぱく質摂取量が多いほど骨密度は低下することが示唆された。妊娠中の骨密度低下を抑制するためには妊娠前半期および後半期とも,たんぱく質摂取量が多いほど Ca 摂取量を増加させる必要があるのではないかと考えられる。
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