「行政保健師の職業的アイデンティティ尺度」の開発と関連要因の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 「行政保健師の職業的アイデンティティ尺度」を開発すると共にそれに関連する要因を明らかにし,効果的な保健師活動のための基礎資料とする。<br/>方法 行政保健師の職業的アイデンティティを測定する尺度を作成し,関東地域に勤務する行政保健師に対する質問紙調査を実施した。回答の得られた739人を分析し,尺度の信頼性と妥当性,および関連要因を検討した。<br/>結果 1) 7 つの下位概念と52項目の暫定版行政保健師の職業的アイデンティティ尺度(PISP)を作成した。この尺度の項目分析と因子分析(プロマックス斜交回転法)の結果,PISP は,《保健師としての自信》,《職業と自己の生活の同一化》,《他者からの評価と自己尊重》,《職業への適応と確信》,《職業と人生の一体化》の 5 因子構造の37項目からなる尺度となった。2) PISP の合計得点と「自我同一性尺度」,「自尊感情尺度」とは有意な正の相関がみられた。3) PISP と「看護職の職業的アイデンティティ尺度」の合計得点との関連では,有意な正の相関がみられた。4) PISP 全体の α 係数は0.96と高かった。5) PISP の合計得点と年齢および経験年数の関連では共に有意な正の相関がみられた。6) PISP の合計得点との関連では,配偶者の有群,同居者の有群,夫•子供と同居している群,役職の有群の得点が無群と比べ有意に高かった。7) PISP および下位尺度の合計得点を従属変数とし,前提要因と関連要因を独立変数とした重回帰分析の結果,PISP の合計得点に有意に関連していたのは,信念をもっている,モチベーションをもっている,年齢が高い,保健師としての役割を担っているであった。<br/>結論 PISP は信頼性,妥当性が検証され,適用可能な尺度と考えられた。また,保健師の職業的アイデンティティ向上のためには,信念やモチベーションを高めたり,専門性が発揮できるように組織体制を整えることの必要性が示唆された。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果