年齢別にみた家庭における乳幼児の不慮の事故実態と事故予防対策
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概要
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目的 本研究は,群馬県における家庭での乳幼児の不慮の事故実態および事故予防策実施状況を年齢毎に把握し,具体的な事故予防対策への示唆を得ることを目的とした。<br/>方法 対象は,群馬県内の市町村のうち調査への協力の得られた14市町村が実施する乳児健康診査・1 歳 6 か月児健康診査・3 歳児健康診査対象児の保護者計551人であった。過去 1 年間に自宅で子どもに生じた事故や大きな怪我の有無とその種類・原因・対応,および家庭での予防策実施の有無に関する自記式質問紙調査を行い,分析した。<br/>結果 乳児では,過去 1 年間に経験した者の割合が最も高かった事故は「転落」で30.8%,次いで「誤飲」22.7%,「窒息」11.5%であり,1 歳半児では「転落」が41.0%,「熱傷」20.3%,「誤飲」19.3%,3 歳児においては「熱傷」が32.3%,「転落」31.0%,「窒息」14.5%の順であった。事故の種類と対象児の年齢の関連をみると,χ2 検定の結果,「熱傷」,「誤飲」,「溺水」の 3 項目において,年齢によって経験した者の割合に有意な差がみられた。「熱傷」は乳児よりも 1 歳半児,1 歳半児よりも 3 歳児で経験率が高く,逆に「誤飲」は,3 歳児よりも 1 歳半児,1 歳半児よりも乳児のほうが経験率が高かった。また,「溺水」については,乳児よりも 1 歳半児および 3 歳児のほうが経験率が高かった。家庭での事故予防策については,事故の種類毎に各項目間の実施率の関連を検定した結果,ある予防項目を実施している者の方が,他の項目も実施している割合が有意に高い傾向にあった。<br/>結論 小児の年齢により生じやすい事故に特徴があることや,事故予防策の実施状況には養育者の予防意識が関連していることなどが明らかとなった。
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