食と運動の習慣改善支援をめざすヘルスボランティアのための研修プログラム開発とその評価
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概要
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目的 食と運動を扱う初級ヘルスボランティアを対象とし,効果的な支援活動に関する実践法の習得および活動計画の作成,実施,評価までを組み込んだ研修プログラムを開発し,その構成や内容を評価する。<br/>方法 福岡県久留米市の事業として,研修の対象を活動し始めたばかりの意欲的なヘルスボランティアとするため,行政担当者が既存の 2 団体へ呼びかけた。その結果,18人(平均年齢63.3±6.4)が参加した。研修プログラムは,1)事前通信講座,2)基礎講座 3 日間(9 時間),3)2 か月の活動実践,4)応用講座 1 日(3 時間)から構成された。研修の目標は,①食と運動の健康づくり支援活動に必要な基礎的知識を理解し,②効果的な支援活動を計画でき,③支援活動の評価ができる,ことであった。そのために,事前通信講座で知識学習を促し,基礎講座では行動変容技法および活動の評価法に関する講義を行った。またグループ討論によって活動計画を具体的に作成した。さらに 2 か月の活動直後に実践報告を求め内容を討論した。研修プログラムの評価として,自記式による運動・栄養・行動科学に関する知識(15項目の正解率,各 0-1 点),生活習慣改善支援に関する自己効力感(5 項目,各 0~100%),参加者の研修内容に関する評価(9 項目,各 1-5 点)を用いた。また,研修参加者が研修後の地域実践活動において客観的な活動評価を行ったかどうか,も評価の指標にした。<br/>結果 知識テスト正解率は,事前通信講座前(54.8%)から基礎講座前(67.1%)にかけて向上した(P<.05)。さらに基礎講座前から基礎講座後(87.6%)にかけて正解率は向上した(P<.05)。生活習慣改善支援に関する自己効力感は,事前通信講座前(35.1%)から応用講座後(53.1%)にかけて向上した(P<.05)。全ての参加者は基礎講座後の活動実践時に,企画した支援活動に参加した地域住民から,アンケートによって企画内容に対する評価を受けた。参加者の本研修プログラムに対する総合評価,講座資料の有効性,グループワークの有効性,スタッフ,取り上げた内容に関する評価はいずれも 5 点満点中 4 点以上と高かった。<br/>結論 以上より,本プログラムの構成と内容は,意欲的な初級ヘルスボランティアに対する研修として,妥当なものと判断した。
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