都市部在住高齢者における介護予防健診の不参加者の特徴 介護予防事業推進のための基礎資料(「お達者健診」)より
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概要
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目的 地域高齢者を対象に実施された介護予防健診への継続参加者と不参加者の特性を比較し,不参加の関連要因を検討した。また,老年症候群の改善介入教室の参加状況が健診への継続参加へ及ぼす影響について検討した。<br/>対象と方法 2002年に東京都I区で実施された介護予防を目的とした健診(「お達者健診」)の参加者(1,712人)を対象とした。2 年後の2004年に実施した健診に参加した者を「参加者」,参加しなかった者を「不参加者」の二群に分類し両群間における特性を比較した。また,健診への不参加の関連要因を明らかにするため,多重ロジスティック回帰分析を実施した。<br/>結果 健診の参加率は,男性66.3%,女性67.3%であった。多重ロジスティック回帰分析の結果,男性では,認知機能が低い(Odds ratio (OR)=2.19, 95% Confidence Intervals (CI) 1.07−4.49),教育歴が低い(OR=1.58, 95% CI 1.22−2.22),老年症候群がある(OR=1.82, 95% CI 1.27−2.59)が,女性では,認知機能が低い(OR=2.01, 95% CI 1.13−3.59),喫煙習慣がある(OR=2.05, 95% CI 1.13−3.72),趣味習慣が無い(OR=0.68, 95% CI 0.50−0.92)ことが健診への不参加に関連した。ついで,老年症候群の保有者のみを対象に不参加の関連要因を検討したところ,男女に共通して老年症候群の改善介入教室へ不参加である(男性 OR=5.90, 95% CI 2.08−16.7,女性 OR=2.64, 95% CI 1.57−4.45)ことが健診への不参加に関連した。<br/>結論 健診に参加しない者は,男性では認知機能が低く,教育歴が低く,老年症候群の保有者であり,女性では,認知機能が低く,喫煙習慣があり,趣味習慣が乏しいという特徴が認められた。また,男女共に老年症候群の保有者であっても,介入教室に参加した者はその後の健診にも参加しやすいことが明らかとなった。<br/>提言 健診への参加率を向上させるためには,個々の背景やニーズに合わせた周知法や健診内容の提示が必要である。
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