精神障害者に対する偏見減少のための教育的介入の効果 高校生における教育的介入の評価
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概要
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目的 本研究の目的は,高等学校の生徒において精神障害者に対する偏見を減少させるための介入プログラムを実施し,そのプログラムを評価し,効果を検証することである。<br/>方法 近畿圏内の公立高等学校に通う 2・3 年生(16~18歳)を対象とし,180人(介入群99人と対照群81人)の生徒に質問紙票を配布した。<br/> 介入方法については,精神保健福祉全般についての授業一時限(50分)と当事者の語り一時限(50分)とした。<br/> 調査方法は自己式質問紙票調査を用いた。同じ学校・同じ学年で介入群:上記の介入を行う群と,対照群:介入を行わない群を設け,それぞれに初回調査,介入から 1 週間後(第 2 回調査),2~3 か月後(第 3 回調査)に同様の質問紙票を用いて追跡調査を実施し,その結果を比較した。<br/>結果 回収率は介入群において初回調査:98.0%,第 2・3 回調査:88.9%であった。また対照群においては初回調査:90.1%,第 2・3 回調査:93.8%であった。介入後,介入群においては好ましい態度変容がみられた。全体的な指標として質問紙票に対する回答を点数化し,好ましい回答の平均値を比較(t-検定)すると,初回調査においては介入群:40.6 対照群:43.1であった。第 2 回調査においては介入群:51.1 対照群:41.5であった。3 か月後の調査においては介入群:47.4 対照群:42.8であった。すなわち介入群では 1 週間後には,より好ましい態度変容が認められたが,対照群では変化が認められなかった.また,3 か月後には介入の効果は小さくなっていた。<br/>結論 精神障害者に対する偏見の減少を目的とした授業は高校生の態度や意識に好ましい変化を与えた。しかし,変容した態度や意識の長期間の継続は困難であり,継続的な教育の必要性が示唆された。
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