中学生の喫煙と Health Locus of Control との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 著者らは児童と母親を対象に,日常の予防的健康行動と健康と病気の原因に対する考え方の 1 つである Health Locus of Control(以下 HLC とする)の関連とこれらの母子間の関連を明らかにするために,縦断調査を実施した。今回は,喫煙防止教育に資することを目指し,中学生の喫煙と HLC との関連について明らかにする。<br/>方法 1991年に小学校 3 年生を対象に第 1 回調査,6 年生時点で第 2 回調査,中学 3 年生時点で 3 回目の調査を実施した。今回は中 3 時点の調査と小 6 時点の HLC を用いる。調査内容は喫煙(喫煙経験,喫煙願望),HLC(Parcel & Meyer の児童用 HLC 尺度の翻訳版)などである。中 3 時点の回答者は男子136人,女子129人,合計265人であった。<br/>結果 1. 喫煙経験と HLC との間には関連は認められなかった。<br/> 2. 男子の場合,喫煙願望「保留」の者は「肯定」の者より,中 3 時点および小 6 時点の Powerful Others HLC 傾向が強かった。また,「肯定」の者は「否定」の者より小 6 時点の Powerful Others HLC 傾向が弱かった。<br/> 3. 女子の場合,喫煙願望「保留」の者は「否定」の者より,中 3 時点の Powerful Others HLC 傾向が強かった。<br/>結論 喫煙経験と HLC との間には関連は認められなかった。喫煙願望と Powerful Others HLC には関連が認められた。喫煙行動への態度を保留する者は Powerful Others HLC が強い傾向があり,他者からの影響を受けやすい。したがって,喫煙の誘いを受け入れやすい一方,周囲からの良い影響も受けやすく,健康教育の効果も期待できると考えられる。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果