地域ぐるみの減塩教育キャンペーンの実際とその評価 筑西市協和地区・脳卒中半減対策事業 メディアによる健康教育活動
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概要
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目的 循環器疾患の予防を目的とした地域ぐるみの減塩教育キャンペーン,とくにメディアによる健康教育を多角的,継続的に実施する方法,実績並びに評価結果を提示する。<br/>対象と方法 対象地域は茨城県協和町(現・筑西市,1985年国勢調査人口16,792人)である。当地域では1981年より循環器疾患の予防対策を開始し,1983年から高血圧の一次予防を目的に地域ぐるみの減塩教育キャンペーンを全町的規模で実施している。メディアを介したキャンペーンとして,減塩と栄養のバランスを強調したキャッチフレーズ入りのたれ幕や横断幕,立て看板等を作成し,町内要所約250か所に設置した。このキャッチフレーズは保健センターが配布・発送する広報誌や郵便封筒にも印刷され,常に住民の目に留まるようにした。2003年には減塩教育キャンペーンのためのキャラクターマークを作成し,垂れ幕や横断幕,立て看板の他,ポスターや健康カレンダーにも展開した。さらに減塩マークも作成した。町の行事を介してのキャンペーンとして,循環器疾患予防を統一テーマに据えた「健康まつり」を年 1 回実施した。健診時期には小学生の作成した絵や書道による健診受診勧奨ポスターを町内各所に掲示した。キャンペーンの評価として,アンケート,みそ汁の塩分濃度測定,24時間思い出し法による食塩摂取量の推移を分析した。<br/>結果 キャンペーンの実施に伴い1983年から1988年にかけて,町の施設で保健師による健康相談・血圧測定が受けられることを認識している人の割合は65%から84%と増加した。また塩分摂取量の目標値が10 g 以下と答えた人の割合は47%から63%と増加した。減塩を実行していると答えた人の割合も38%から58%と増加した。適塩といわれる1.1%未満のみそ汁塩分濃度の世帯は1985年から2004年にかけて47%から66%と増加した。40~69歳の循環器検診受診者を対象とした24時間思い出し法による食塩摂取量は,1982年から2004年にかけて,とくに40歳代で男性は14 g/日から11 g/日,女性は12 g/日から10 g/日へと低下した。<br/>結論 循環器疾患予防を目的とした地域ぐるみの減塩キャンペーンは,住民組織,学校・教育委員会,食品協会等の関係機関との連携により多角的,継続的に実施することが可能であり,減塩の推進に有効であること考えられた。
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