中学生の自覚症状と生活習慣に関する研究
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概要
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目的 近年,社会環境やライフスタイルの多様化に伴い,中学生の間で疲労感や不定愁訴など,自覚症状についての訴えが増加しつつあることが問題視されてきている。本研究では,愁訴と生活様式,特に睡眠不足や不適切な食習慣の関連を解明し,生活指導に活用することを目的に検討を行った。<br/>対象および方法 対象者は神奈川県内の13市,3 町の中から29校の公立中学校を無作為抽出し,各校,各学年のうち 1 クラスの男女とした。方法は CMI 簡略版の質問項目を含む100項目の設問からなる質問票を用い,自己記入法により実施した。<br/>結果 CMI の身体的症候評価で「異常」,精神的症候評価で「要検診」と評価された者は,男女共に,高学年になるにしたがって増加傾向を示した。「異常」群や「要検診」群では,生活リズムの規則性に関する質問で,生活リズムが「いつも不規則」と回答した者が多く存在した。生活リズムの規則性と関連が見出された生活習慣は,(1)就寝時刻,(2)睡眠時間,(3)食生活評価であった。生活リズムが「いつも不規則」な者は,就寝時刻が遅く,睡眠時間が短く,食生活評価が悪い者が多く存在した。数量化理論による解析の結果,生活リズムの規則性に最も関連するのは,就寝時刻であることが明らかとなった。また,食生活では,90%以上の者が,食事の際に,食品の組み合わせに対する配慮をしないと回答していた。<br/>結論 生活リズムの不規則な中学生に対して,十分な睡眠時間を確保するための生活指導に加えて,適切な食教育を行う必要があると考えた。
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日本公衆衛生学会 | 論文
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