大学医学部・医科大学における社会医学実習の教授目標
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的 全国の大学医学部および医科大学の衛生学公衆衛生学講座が行っている社会医学実習の現状を把握し,改善の方向性を探るため,各校の教授目標を集め,その内容を検討した。<br/>方法 平成14年12月に,全国の大学医学部および医科大学の衛生学公衆衛生学講座の協力により社会医学実習の教授目標についてのアンケートを行い,その内容の検討を行った。教授目標の記載の有無については,知識・態度・行動の各領域についてそれぞれ複数のキーワードを設け,その出現頻度を領域別に集計した。教授目標の記載内容の質の評価については,9 項目の評価基準を設け,それぞれ 3 段階の判定尺度で複数の判定者が判定を行ったものの項目ごとの平均値を求めた。<br/>結果 記載の有無については 8 割の大学が一般教育目標(GIO:General Instructional Objective)について記載をしていたが,具体的行動目標(SBO:Specific Behavioral Objective)の記載が認められたのは 6 割の大学においてのみであった。さらに 4 割の大学において GIO と SBO の両方の記載が不十分であった。記載内容の検討の結果,"GIO で学生が主語"の記述がなされている講座は多いが,"SBO で知識・態度・行動のそれぞれの領域に渉った記述"は少ないという傾向がみられた。また,GIO と SBO の区別が明確ではない傾向もみられた。<br/>考察 医学教育で実習が重要な位置を占めているにもかかわらず,わが国の社会医学実習においては十分な教授目標が設定されていないという傾向が示された。今後わが国の衛生学公衆衛生学教育では,実習に際し一般的な目標だけでなく具体的な行動目標を設定すること,また知識のみに偏らず,態度・行動も含んだ習得すべき能力を明確に示したカリキュラム作りが必要である。
- 日本公衆衛生学会の論文
日本公衆衛生学会 | 論文
- 心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
- 脳卒中予防対策地域における脳卒中発生状況と重症度の推移に関する疫学的研究
- 健康づくりのための運動指針2006の認知状況と他の健康づくり施策の認知および人口統計学的変数との関連
- 在宅生活をしている統合失調症患者のWHOQOL-26尺度に影響を与える要因の検討
- 肥満児の体力と保健指導プログラムにおける運動療法の効果