鼻咽腔閉鎖機能不全症患者の咽頭側壁の運動様式に関する研究 - リニア電子走査方式超音波診断装置による観察
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概要
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口蓋裂やその他の鼻咽腔閉鎖機能不全症患者において咽頭側壁の定量的な解析は必要であるが,これまで咽頭側壁運動観察に用いられてきたX線テレビ,X線映画,鼻咽腔ファイバースコープなどの方法は十分な解析は難しく,その運動様式は必ずしも明確にされていない.本報告ではリニア電子走査方式超音波診断装置を今まで応用されたことのない口蓋裂未手術症例,手術後症例および先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症症例の咽頭側壁運動観察に応用し定量的運動解析を行ったので報告する.<BR>対象は口蓋裂術後患者5名;OP群(男性1名,23歳,女性4名,15-33歳)口蓋裂未手術患者;未OP群(女性3名・32-52歳)および先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症患者4名;VPI群(男性2名13歳,18歳,女性2名19歳・20歳)とし・前回報告した健常人5名(男性4名27-32歳,女性1名28歳)を対照(健常群)とした.検査項目は,/a/,/i/発音時,および嚥下時とした.<BR>OP群の発音時運動量の計測結果は2つの傾向が認められた.すなわち4例において健常群と比べ正中運動量は低値,垂直運動量は高値で,1例において正中,垂直運動量が明らかに低値であった.運動時間は全般に低値であった.嚥下時では1例においてわずかな運動時間の延長が認められたが,全体としては,運動量,運動時間とともに健常人とほぼ同様な動きであった.<BR>未Op群は/a/,/i/発音時ともに健常群と比べ正中,垂直運動量ともに明らかな低値がみられた.運動時間はやや低値にとどまった.嚥下時は運動量,運動時間ともに健常群とほぼ同様な運動様式であった.<BR>VPI群では/a/,/i/発音時2例が健常群に近い運動量,運動時間を示したが,残り2例はむしろ未手術症例に近い運動であった.嚥下時は発音時の運動性にほとんど関係なく良好な運動であった.
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