NAM治療後にTwo flap口蓋形成手術を行った左側唇顎口蓋裂症例
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概要
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Presurgical Nasoalveolar Molding治療(NAM)後にTwo flap口蓋形成手術を行った患者の5歳時の結果が得られたので報告する。症例:左側唇顎口蓋裂女児,初診時年齢2週,顎裂幅13mm,生後3週にてNAM治療を開始し,約4ヶ月間の治療後,顎裂幅0mmにて口唇鼻形成手術(小三角弁+Millard法)を施行,1歳1ヶ月で口蓋形成手術(Two flap法変法)を行った。なおMillard type Gingivoperiosteoplasty(GPP)は行っていない。生後2歳2ヶ月にて軽度開鼻声と声門破裂音及び鼻咽腔構音が観察されたが,生後3歳4ヶ月までに開鼻声と鼻咽腔構音は自然治癒した。早期構音訓練を開始し6ヶ月後に声門破裂音は消失した。再評価時年齢5歳11ヶ月,軽度の左右非対称はあるが良好な口唇鼻形態とstraight profileを示すとともに,口腔内所見から垂直被蓋,水平被蓋とも+1.5mmと良好な歯列弓形態が観察された。レントゲン所見から骨格性I級であり,上顎前歯萌出完了まで矯正治療は経過観察と診断した。なお裂部側切歯の欠損及び顎裂部には骨欠損が確認され,近い将来第二次歯槽骨移植手術の必要性が確認された。本症例の5歳時における治療結果は良好であり,日本人にもNAM治療およびTwo flap口蓋形成手術は審美,言語,顎発育,口腔形態ともに良好な結果をもたらす可能性が示唆された。しかし一時的な声門破裂音が認められたことは重視すべき問題であり,言語,顎発育において更なる検討が必要と考えられる。
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