唇顎口蓋裂患児の歯と咬合の異常に関する調査
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概要
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蓋裂患者についての矯正学的な問題点を1つ1つ把握しておく必要がある.<BR>そこで本研究では最も来院頻度の高い6才以上8才未満の小学低学年患児142名の矯正治療開始時の顎態模型, 歯牙パノラマX線写真を資料として, 上下顎における歯と咬合の異常を調査し, 唇顎口蓋裂患者[以下これをUCLP群(片側性)とBCLP群(両側性)とに分ける]の矯正学的な問題点について検討した.なお対象群には同年令の反対咬合患者50名を選んだ.<BR>その結果, 以下のことが明らかになった.<BR>1)先天的欠如歯は上顎に多く, UCLP群では側切歯が非破裂側27,1%, 破裂側65.4%の高率で, 第2小臼歯が9.3%, 12,1%の率で認められた.BCLP群では側切歯が65.7%-68.6%, 第2小臼歯が17.1%の率で欠如していた.<BR>2)第1大臼歯の捻転はBCLP群でみられ, 〓は頬側咬頭が近心に, 〓は同咬頭が遠心に向う捻転を示した.<BR>3)乳歯う蝕罹患度は有意に高く, 上下顎ともに同傾向を示した.<BR>4)上顎前歯部の不正も多く, UCLP群では側切歯の舌側転位, 捻転, 近遠心傾斜が, 中切歯では舌側傾斜, 捻転がみられた.BCLP群でも側切歯の舌側転位, 中切歯の舌側傾斜, 遠心舌側傾斜が多く, 捻転は左側に多くみられた.<BR>5)歯列弓の大きさは上顎では長径, 幅径ともに有意に小さく, とくに歯列弓長径, 乳犬歯部幅径は小さかった.<BR>6)上下顎の咬合関係についても多くの異常が認められ, 大きなマイナスのoverjetを示し, overbiteは小さかった.また臼歯部の咬合関係は近遠心的にはClass II 関係を示すものが多く認められ, 側方的には乳犬歯部, 第2乳臼歯部, 第1大臼歯部のいずれでも大きなcross-bite量を示したが, とくに乳犬歯部ではUCLP群の破裂側において大きなcross-bite量を認めた.
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