Hogan変法による咽頭弁手術の臨床的検討
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概要
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静岡県立こども病院では,口蓋裂手術後や粘膜下口蓋裂および先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症にみられる中等度以上の鼻咽腔閉鎖機能不全の治療方法として,咽頭弁手術を第1選択としている.今回われわれは1989年4月から2007年12月までの問に同一術者が同一術式(Hogan変法)で行った咽頭弁手術症例に対して検討を加えた.症例数は120例で,内訳はCLP 33例,CP24例,SMCP 43例,CVPI 20例,手術時年齢は平均7歳5ヶ月,術後経過観察期間は平均5年6ヶ月であった.結果は以下であった.<BR>1)手術時間は平均74分,術中出血量は平均31mlで,輸血を行った症例はなかった.<BR>2)鼻咽腔閉鎖機能は115例(95.8%)が改善し,ll1例(92.5%)でGood以上の鼻咽腔閉鎖機能を獲得していた.5例で変化がなく,悪化した症例はなかった.<BR>3)構音障害では,声門破裂音が43例から17例,口蓋化構音は6例から2例に減少していた.<BR>4)術後は全例で翌日までの酸素投与を必要としたが,術後早期の創離開や出血はなく,再手術を要した症例はなかった.中長期の合併症として,閉鼻声が5例に見られたが,明らかな睡眠時無呼吸発作や新たな中耳炎の出現や悪化を訴えた症例もなかった.<BR>われわれのHogan変法による1咽頭弁手術は,口蓋裂術後,粘膜下口蓋裂,先天性鼻咽腔閉鎖機i能不全症にみられる鼻咽腔閉鎖機能不全の治療方法として,鼻咽腔閉鎖機能や構音障害の安定した改善が得られ,合併症も少ない有用な方法であった.
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