二次的顎裂部骨移植の時期の違いが顎顔面の成長発育におよぼす影響について
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概要
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【目的】二次的顎裂部骨移植は,唇顎口蓋裂治療の一環として広く行われ,有効な方法である.しかし,骨移植が顎顔面の成長発育におよぼす影響については,いまだ意見の一致は得られていない.本研究の目的は,骨移植の手術時期の違いによる顎顔面の成長発育への影響を調査することである.<BR>【対象および方法】対象は当院で出生直後より管理している片側性完全唇顎口蓋裂患者のうち,1983年から1991年までの問に日本人両親から出生し,合併奇形のない30名(男性22名,女性8名)である.これらを顎裂部骨移植時の年齢が8歳から10歳(平均9.6歳)の早期群23名(男性18名,女性5名)と,11歳から13歳(平均12.2歳)の晩期群7名(男性4名,女性3名)に分類した.なお,両群問で口唇および口蓋閉鎖の時期と術式に違いはない.資料は,二次的顎裂部骨移植施行前の7~8歳時と,術後1年以上経過した15~16歳時に撮影した側面頭部エックス線規格写真を用いた.顎顔面の28項目について形態計測を行い,個・々の計測値と骨移植前後の計測値の変化量について両群問で比較検討した.なお,トレースを行う者と計測者を別とし,計測者には早期群か晩期群かの情報は与えなかった.<BR>【結果および考察】上顎骨の前後方向の変化量について両群問で有意差は認められなかった.一方,上顎骨前方部の垂直方向の変化量については,晩期群で有意に大きい値を示し,早期群で発育抑制がみられた.これは,上顎骨の前後方向への発育が10歳でほぼ終了するのに対し,垂直方向への発育はそれ以降も続くことによると考えられた.
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