Goslon Yardstick による上下顎歯列弓関係の評価:日本人片側性口唇口蓋裂患児についての試み
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概要
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GoslonYardstickは片側性口唇口蓋裂(UCLP)患者の上下顎歯列弓関係を,臨床的に評価する方法で,グループ1:非常によい,グループ2:良い,グループ3:まずまず,グループ4:悪い,グループ5:非常に悪い,の5段階に評価する.この方法は,欧州を始めとする世界中の多施設比較研究の咬合関係の指標として用いられている.<BR>今回われわれは,GoslonYardstickを東京大学医学部附属病院(東大病院)において管理している日本人UCLP患者25名に適用した.評価は歯科矯正治療開始前で,平均年齢8歳5ヵ月の時点で行った.本研究では原法との評価基準の一致を図ることを重視し,評価を英国にて行った.Goslon Yardstickは,本来歯列模型を用いて評価を行うが,本研究では重く壊れやすい資料を運ぶことを避け,正面,左右側面,上顎咬合面の口腔内写真を用いた.得られた評価結果は,これまで報告された欧州施設の結果と比較した.<BR>その結果,写真は模型に比べ情報量がやや劣るものの,以下の所見を得た.<BR>1)Goslon Yardstickは,UCLP患者の咬合状態を評価するのに有用な方法と思われた.<BR>2)東大病院の患者25症例の評価結果は,グループ1はみられず,グループ2が2症例,グループ3が8症例,グループ4が12症例,グループ5が3症例で,「悪い」,「非常に悪い」(4+5)に分類されたものが6割を占めた.<BR>3)こうした結果は,どの欧州施設より悪く,我が国における治療結果に対するより詳細な調査が必要と思われた.
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