側貌頭部X線規格写真を用いた口蓋裂手術後の鼻咽腔閉鎖機能の検討:距離と角度の計測
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概要
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口蓋裂手術後の鼻咽腔閉鎖機能の程度を側貌頭部X線規格写真による鼻咽腔形態と比較検討してみた.症例は4歳前後の鼻咽腔閉鎖機能不全群12症例,軽度不全群18症例,良好群60症例の計90症例である.<BR>側貌頭部X線規格写真は,それぞれの安静位および,/a/音発声時,/i/音発声時の3枚を撮影し,その各々について咽頭後壁および軟口蓋の距離,角度や運動量の計測を行い,比較検討した結果以下の如き所見を得た.<BR>1.硬口蓋咽頭後壁間距離,鼻咽腔の高さ,鼻咽腔の深さ,軟口蓋鼻腔側最吊点と咽頭後壁との距離は,ともに不全群,軽度不全群,良好群になるにつれ短くなっており,有意差を示した.<BR>2.発声時の軟口蓋の厚さは良好群,軽度不全群,不全群の順に厚くなり,発声時には肥厚するものが多く示された.また長径は発声時に,収縮するものが多く示された.<BR>3.発声時の軟口蓋の運動量は,不全群では/a/音発声時の方が多く,良好群では/a/音発声時,/i/音発声時とも同程度のものが多く示された.<BR>4.咽頭後壁の運動は良好群,軽度不全群,不全群の順に前方に大きく動き,また/a/音発声時よりも/i/音発声時の方が,より前方へ大きく動くものが多く示された.<BR>5.軟口蓋と咽頭後壁の運動を合わせてみると,不全群では/a/音発声時の方が,良好群では/i/音発声時の方が良く動いているものが多く示された.<BR>6.軟口蓋鼻腔側最吊点は,P平面とLEラインとの間に最も多く集まっていた.
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