口唇,口蓋裂患児の経年的顎顔面頭蓋発育:側方頭部X線規格写真による検討
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概要
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片側性不完全口唇裂患児(口唇裂群)43名,片側性完全唇顎口蓋裂患児(唇顎口蓋裂群)47名,口蓋裂単独患児(口蓋裂群)27名の合計117名について,4,6,8歳時の顎顔面頭蓋発育を経年的側方頭部X線規格写真を用いて非破裂児と比較検討した.結果は下記の通りである.<BR>1)頭蓋底の発育に関しては裂3群と非破裂児の間に差はなかった.<BR>2)上顎発育で最も悪いのは唇顎口蓋裂群で,次いで口蓋裂群,口唇裂群であった.唇顎口蓋裂群の4歳時ではすでに上顎前下方への発育が悪く,6,8歳時では前方への発育抑制がより明らかとなった.この傾向は女子の方が男子より著しかった.口蓋裂群では前方発育は不良であるが,下方発育では唇顎口蓋裂群よりも良かった.口唇裂群は下方への軽度の劣成長のみが見られた.<BR>3)下顎発育は,上下方向において唇顎口蓋裂群が最も悪く,水平方向においては唇顎口蓋裂群と口蓋裂群が同程度に劣成長を示した.口唇裂群は4歳時で上下方向にのみ軽度の劣成長を示したが,成長とともにその差は少なくなった.<BR>4)上下顎対向関係は,唇顎口蓋裂群と口蓋裂群では経年的に悪化傾向を示し,この傾向は唇顎口蓋裂群の女子で著明であった.<BR>以上を総括すると,3群中で最も著しい顎顔面頭蓋発育障害は唇顎口葦裂群で見られ,ついで口蓋裂群,口唇裂群の順であった.とくに唇顎口蓋裂群では上顎の前方発育障害は著しく,経年的に上下顎対向関係が不良となることが示された.
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