Palatalizer による口蓋裂患者の構音治療例
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概要
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口蓋裂患者の障害音のうち[k][g]音の構音治療は困難なものの一つであり,特にそれがglottal stopに置換されている場合は,更に難度が増大する.このようなglottal stopは,口蓋閉鎖術後,鼻咽腔閉鎖機能不全があるにもかかわらず,適切な処置がなされないまま構音を習得してきたことによる悪習慣であるといわれている.Speech-aidにより閉鎖不全が改善された後もglottal stopは残存し,正常な構音を習得するまでには,かなりな時間と学習が必要となる.<BR>我々はこのような症例に対して,言語治療の期間を短縮する目的で,舌背が口蓋と接触しやすい形態を検討し,speech-aidの床部分を延長し,その部の厚みを増すことによって人工的にvaultを浅くしたものを患者に装着したところ,短期間で[k][9]の構音を習得した.このように改造した[k]音習得のためのspeech-aidを我々はpalatalizerと名づけた.このpalatalizerは,単に口蓋のvaultを浅くし舌背と口蓋の距離を短縮するだけでなく,舌の後方への運動を制限する働きを合わせ持っており,それらの働きが相侯って[k]音習得のための触覚,一運動知覚的な手がかりとなって,構音のpalatalizationを起すために[k][9]音の治療期問を短縮し得たものと考えられた.
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Japanese Cleft Palate Association | 論文
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