口唇形成手術による口唇圧の変化に関する研究
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概要
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口唇形成手術後に生じる上顎の成長発育抑制の原因としてはr裂部閉鎖によって生じる口唇圧の増大が一因であろうと推定されるが,真因についてはまだ解明されていない.<BR>そこで著者は,歪計を応用した圧力トランスジューサーにより54症例の口唇裂患者について,口唇形成手術直前および直後に全身麻酔下で口唇圧を測定し,次の結諭を得た.<BR>1)ほとんどの症例で術後値は術前値を上回り,口唇圧の増大,および「ゆとり」の減少が客観的に確認できた.<BR>2)口唇圧の変化は裂形態により異なり,完全唇顎口蓋裂群では術後,ほとんどの症例で口唇圧が増大したのに対し, 不完翁唇裂群では口唇圧が減少した症例もかなり認められた.<BR>3)手術方法との関連もいくらか認められ,rotation-advancement flap operationの方がtriangular flap operationよりも術後の口唇圧をより増大させる傾向がうかがわれた.<BR>4)口唇形成手術直後に増大した口唇圧,および減少した口唇の「ゆとり」の程度は, 約10カ月後の口蓋形成手術時には再び口唇形成手術前の値に近くなり,圧の面からもadaptationが認められた, 従って,口唇圧が直接上顎の成長発育に影響を与え得る期間は,永くとも手術後10カ月以内であると考えられ,これ以後に出現する上顎の劣成長は主として口蓋形成手術をはじめとする他の因子によるものと推定される.
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