合併異常を持つ唇裂口蓋裂児の治療方針:特に心奇形,精神発達遅滞患者を中心に
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概要
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唇裂口蓋裂児は他の先天性疾患を伴うことが多く,その合併率は約20-30%と考えられる.このような合併異常を伴う患児の治療にあたっては,当然ながら関連各科と共に総合的に診療を進めることが大事であるが,その具体的な治療方針についてはほとんど報告されていない.そこで著者らは心奇形,精神発達遅滞を伴う患児を中心にa合併異常を有する唇裂口蓋裂児に対する当科での治療方針について報告した.1.スクリーニング当科では生後1-2カ月頃に小児内科を受診させ,合併異常の有無発達,発育について小児科的に精査を行なっている.2.心奇形を合併する患児治療方針は小児循環器科とカンファレンスを行い決定するが,基本的には心奇形に対する検査,治療を優先する.ただし,口唇形成は,循環動態が安定すれば心奇形の根治手術前でも形成手術を行なうようにしている.3.精神発達遅滞を合併する患児当センターでは発達遅滞児に対しては,小児神経科,臨床心理士,理学療法士,言語治療士,保健婦などが協力し,患児の能力をできるだけ伸ばすべく早期より適切な療育を行なう体制を作っている.精神発達遅滞患者では言語発達も遅れることから口蓋形成の時期を遅らせる施設もあるが,当科では「咀噛嚥下機能の回復」を考慮したうえで,発達遅滞患者であっても1歳6カ月頃までに形成手術を行なうようにしている.4、minoranomaliesを合併する患児基本的には合併異常のない児と治療方針は変わらない.ただ,乳幼児期に手術を必要とする疾患で,短時間で行える手術は形成手術と同一麻酔で行なう揚合がある.
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