1.学童期までの治療における手術と術者の役割
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概要
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学童期までの口唇口蓋裂児に対する各科からのアプローチの中で,口蓋形成術を中心として手術と術者の役割について述べた.<BR>口蓋形成術において充分なスピーチを獲得するためには軟口蓋の充分な後方移動と延長,軟口蓋の可動性の獲得が最も重要である.口蓋粘膜弁法の場合,この2つの問題をどのように考え実践しているか具体的に述べた.<BR>術者の役割に関しては学童期までの集学的治療の一員として歯,口腔,聴器に関する保健衛生指導の問題があり,術者としての取り組み方について言及した.<BR>咬合や顎発育に関しての問題は言語の問題に比較して遅発性に発現するため,とかく術者の手を離れがちである.<BR>しかし,術者として手術による顎発育への影響を正しく認識し,その配慮をもって手術に還元させてゆくべきである.<BR>我々の行なっている口蓋粘膜弁法では歯列弓の前後径の発育が確保されており,その理由について見解を述べた.<BR>我々は口蓋形成術における顎発育の障害因子として口蓋に形成された手術創面の創傷治癒過程における創収縮と癩痕拘縮を重視している.創収縮と癒痕拘縮の上顎爾列弓の発育に及ぼす影響について言及した.<BR>手術以外に咬合,顎発育に支障を招く要因として,集学的治療の欠落がある.特に,虫歯の発生による乳歯の早期脱落に顎,口腔の機能と形態の悪循環の源かあるといっても過言ではない.虫歯の予防こそ口蓋裂手術後の顎発育を支える出発点であるといっても過言ではない.術者は学童期までの集学的治療を推進させる原動力の役割を有していると思われる.
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