発音補正装置装着時における口蓋帆挙筋活動に対する口腔内圧および鼻腔漏出気流量の影響
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概要
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発音補正装置装着患者における,鼻咽腔閉鎖運動の調節機構に対する口腔内圧および鼻腔気流量の影響を明らかにすることを目的として以下の実験を行った.実験は,口蓋裂一次手術を受けたものの鼻咽腔閉鎖不全症を呈するため,発音補正装置(Bulb-PLP)を装着している患者3名を対象に行った.Bulb.PLPのバルブを軸方向に穿孔,発声時呼気が鼻腔に流入するようにした実験用Bulb-PLPを用いて,穿孔部をテープによって被覆した穿孔部閉塞時,テープを剥がした穿孔部開放時,Bulb-PLPそのものを撤去したBulb-PLP撤去時における口蓋帆挙筋活動,口腔内圧,鼻腔気流量について検討し,以下の結果を得た.<BR>1.口蓋帆挙筋活動は,穿孔部閉塞時,穿孔部開放時,Bulb-PLP撤去時の順に有意差をもって大きくなった.<BR>2.被覆時および穿孔時での口腔内圧および鼻腔気流量の各々を単一の説明変数とする単回帰分析においては,筋活動値との相関は示されず,口腔内圧,鼻腔気流量のいずれか一方が単独で筋活動の調節に関与しているのではないことが示された.<BR>3.被覆時および穿孔時での口腔内圧および鼻腔気流量を2説明変数とする重回帰分析を行なった結果,重相関係数は0.694~0.815であった.分散分析の結果,全ての被験者の全ての筋活動値において分散比は有意であり,口腔内圧,鼻腔気流量の両方が口蓋帆挙筋活動の調節に関与することが示された.<BR>以上より,発音補正装置装着下での鼻咽腔閉鎖は発音補正装置のバルブによる物理的な閉塞そのものが奏効しているのではなく,発音補正装置の装着によって獲得された呼気流体力学的要素の変化を感知する機能が,鼻咽腔閉鎖機能の調節に組込まれていることが示唆された.
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