口蓋裂一次手術後の鼻咽腔閉鎖機能ならびに鼻咽腔形態について
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概要
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口蓋裂術後患者における鼻咽腔閉鎖機能不全の原因を探るため,側方頭部X線規格写真を用いその鼻咽腔形態と,機能について観察した。症例は,口蓋粘膜骨膜弁後方移動術を施行した46例で,手術は平均1歳7か月に行なわれた。鼻咽腔閉鎖機能の判定は,聴覚的印象に基づき,4歳前後に行なった。裂型は,片側性唇顎口蓋裂25例,両側性唇顎口蓋裂8例,硬軟口蓋裂8例,軟口蓋裂5例であった。鼻咽腔閉鎖機能は,良好34例,軽度不全7例,不良5例であった。それぞれについて鼻咽腔形態の計測と,軟口蓋の可動性について検索した結果以下の結果を得た。<BR>結果<BR>1:裂型では,硬軟口蓋裂において鼻咽腔機能閉鎖不良例の占める割合(50%)が高かった。<BR>2:硬軟口蓋裂では,頭蓋基底から口蓋平面までの距離が他の裂型に比べ有意に大きかった。<BR>3:鼻咽腔機能不良例では,軟口蓋の可動性が他の例に比べ有意に劣っていた。<BR>以上より,鼻咽腔閉鎖機能が不良となる原因は,軟口蓋の可動性に加え,広い鼻咽腔形態があげられる。また,硬軟口蓋裂においては,特に高い口蓋形態を有することが多く,この形態を代償すべく手術を行なう必要がある。
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