X線映画法による口蓋裂術後患者の嚥下に関する研究
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概要
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口蓋裂術後患者の嚥磯鞭明らかにするため, 嚥下パターンと口腔諸組織の強調機能についてX線映画法を用いて検討した.被験者は19名の口蓋裂術後患者(男性10名, 女性9名)と17名の健常者(男性15名, 女性2名)で, 口蓋裂術後患者は鼻咽腔閉鎖の良否により良好群と不良群に分類した.口腔書組織の運動等は, 生理的に有意義な時点((1)嚥下開始, (2)鼻咽腔閉鎖, (3)舌沈下, (4)嚥下第1相と第2相の境界, (5)嚥下物の喉簾谷到達, (6)嚥下物の食道到達)を設定し, 定性的観察に加えて駒ごとに定量的に分析した.舌機能については, 舌の沈下度とによって評価した. 口蓋裂術後群の中には, oral weaknessや嚥下時hesitationを示すもの観察され, 嚥下所要時間は不良群では対照群に比べ有意に長かった.嚥下運動における口腔諸組織間の時間的相互関係については, 鼻咽腔閉鎖と舌下の相対的時間関係の変化が最も特徴的であった.すなわち, 対照群では鼻咽腔閉鎖が舌沈下より早く起こるのに対し, 不良群では逆に鼻咽腔閉鎖が非常に遅れて起こり, 良好群でも同様に遅れがみられたがその値は小さかった.舌の沈下度は口蓋裂術後群では対照群に比べて有意に大きく, 不良群でその値は最大となり, 嚥下時における鼻咽腔閉鎖機能不全に対する代償作用と考えられた.舌骨運動は舌運動機能を反映し, 各群の間で異なったパターンを示す傾向があった.以上の結果より, 口蓋裂術後患者では鼻咽腔閉鎖機能障害の程度に応じて舌翻機能の異常が認められ, 特に不良群においては鼻咽腔閉鑓動と舌運動の間の翻性が欠如することが示唆された.
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