市販だしの素の表示成分と嗜好
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概要
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【目的】日本料理の味の基本として、食育や調理実習の場では、昆布やかつお節のだしを教材とすることが多いが、近年、一般家庭においては、市販だしの素を利用する傾向にある。本校の家庭を対象に行った調査では、味噌汁の調製には、約9割の家庭で市販だしの素やだし入り味噌を利用しており、昆布やかつお、煮干し等からだしをとっている家庭は1割に満たなかった。こうした背景から、市販だしの素の表示をもとに使用材料やその使用法、嗜好性等を検討することにした。【方法】購入しただしの素は65種類である。各製品に表示される使用材料をもとにその数および種類を魚介、昆布、椎茸等の天然材料類、旨味類、調味料類等に分類した。また、嗜好性の評価については、昆布とかつお節でとった天然のだしと数種類の市販だしの素をだしとして汁物や煮物等を調製し、20代の大学生をパネルとして、評点法による官能評価を行なった。【結果】市販だしの素を材料数別に分類すると、50%以上の製品に5~7種類の材料が使われており、10種類以上の材料が使用されているものもあった。材料の面からみると、魚介、昆布、椎茸等の天然材料類のみの製品は全体の約2割であり、天然材料に旨味類や調味料類を組み合わせたものは7割以上で、多くの製品に旨味料や調味料が添加されていた。天然材料の中で多く使われていたのは、かつおが最多で、次いで昆布、椎茸、いわしの順であった。旨味類ではアミノ酸、調味料類では食塩、砂糖が多くの試料に含まれていた。天然だしと市販だしの素について官能評価した結果、市販だしの素は天然だしに比べて、旨味が強く、苦味が弱い傾向がみられ、総合的には「やや似ていない」から「似ていない」の間に評価された。
- 日本調理科学会の論文
日本調理科学会 | 論文
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