術前肺機能検査におけるimpulse oscillation system法の回帰分析法を用いた評価
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概要
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術前肺機能検査の施行は,術後肺合併症の対策の一つの手段として有用であるが,従来の検査法では測定時に被検者による最大呼出努力が必要であり,最大呼出が行われないと,誤った評価を受ける可能性がある.一方,インパルスオシレーションシステム(IOS)による肺機能検査は安静呼吸時に施行できるため術前肺機能検査に向いているが,従来の検査値との相関性はまだ明らかではない.この点を明らかにするため,20歳より89歳までの術前患者620症例において,IOSにより得た検査値と従来の肺機能検査値について回帰分析を行い,得られたR2値により比較した.以前施行した直線回帰分析では,IOSの5パラメータと従来の肺機能検査法により得られた13パラメータとの間の65組み合わせのうち45組で推計学的に有意な回帰式が得られ,相関性は強いと考えられたが,相関性を示唆するR2値は最高でも0.267であった.そのため今回は曲線回帰分析において同様に24組み合わせについて検討したところ,19組で推計学的に有意な回帰式が得られた.しかし,R2値は最高で0.293であり,直線回帰と比較して大きな増加はみられなかった.R2値では,直線回帰では0.2以上を示した組 み合わせは3組だけであったが曲線回帰では5組,0.15≦R2<0.20では10組に対し15組あった.直線回帰では有意差が見られた45組においてR2値が0.1に届かない組み合わせは22組とほぼ半数を占めていたが,曲線回帰では19組のうちわずか1組だけであった.曲線回帰分析を用いたIOSの各パラメータと従来の検査法のパラメータとの間の評価においては直線回帰分析よりも高い相関性が認められたが,IOSにより検査を代用する程の高い相関性は認めなかった.
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昭和大学学士会 | 論文
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