褐色細胞腫に対する腹腔鏡下手術の臨床的検討―手術時間と術中高血圧に影響する術前の臨床パラメーターの解析―
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概要
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(目的) 褐色細胞腫に対する腹腔鏡下副腎摘除術において手術時間と術中の最高収縮期血圧に影響する術前の臨床的なパラメーターが存在するかどうかを解析した. (対象と方法) 1992年1月から2010年9月までに浜松医科大学泌尿器科で褐色細胞腫に対して腹腔鏡下副腎摘除術を施行した28例を対象とした.これら28例について術前の背景因子としてBody Mass Index(BMI),患側,腫瘍径,高血圧の既往,術直前の血圧,血中カテコラミン濃度および24時間尿中カテコラミン代謝物の値について分類し,これらが手術時間および術中の最高収縮期血圧に相関するかどうかレトロスペクティブに解析した. (結果) 全症例において重篤な合併症は認めず,輸血や開腹手術は必要としなかった.手術時間は中央値203分であり,13例(46%)に200 mmHg以上の術中高血圧を認めた.退院可能日は中央値で術後5日目であった.手術時間には腫瘍径,術中収縮期血圧には血中カテコラミン濃度および24時間尿中カテコラミン代謝物の値がそれぞれ有意な正の相関を示した(p<0.05). (結論) 褐色細胞腫に対する腹腔鏡手術では腫瘍径が大きい場合は手術時間が長く,術前のカテコラミン活性が高い場合は術中高血圧をきたすため慎重な周術期管理が必要である.
- 一般社団法人 日本泌尿器科学会の論文
一般社団法人 日本泌尿器科学会 | 論文
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