日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム2 健康長寿のために総合健診で必要とされる検査とその意義フリーラジカル(活性分子種)の基礎と臨床:-Redox制御と病態(熱傷からの解析)-
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概要
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フリーラジカルには、superoxide、hydroxyl radical、hydroperoxy radical、一酸化窒素(nitric oxide; NO)、peroxynitriteなどが知られている。身体は、このようなフリーラジカルによる酸化から生体を防御あるいは修復するためにさまざまな還元機能を有する。これがRedox制御と呼ばれる。 NOは、血管内皮細胞から産生されるガス状の血管平滑筋弛緩因子として発見された。当初NOは血管内皮細胞のみから産生され、循環機能調節にのみ関与すると考えられてきた。しかし、NOは神経伝達物質としても機能するだけでなく、炎症反応時に産生されたNOが、免疫や殺菌などの生体防御にも関わることが知られている。一方で産生されたNOは、炎症部位で同時に産生されるO2-の存在で極めて反応性の強いONOO-に非酵素的に変換されて、周囲組織の酸化的ニトロ化を誘導し組織傷害を引き起こす。 熱傷に伴う炎症では、創傷部周囲から大量の炎症性メディエーターを放出する。その際に多種類の活性分子種も放出され、熱傷創部のみならず正常組織にまで影響して全身性炎症反応症候群(sistemic inflammatory response syndrome; SIRS)を引き起こす。 著者らは、熱の侵害刺激に伴う急性(0.5~3時間程度)炎症相の段階で、NO産生を阻害すると強い抗炎症効果を認めることを報告した。また、この炎症反応はNOで誘発される訳ではなく、O2-の存在で産生されるONOO-が、周囲組織をニトロ化することに由来していた。したがって恒常性を維持するNOですら、酸素系活性分子種との接触によってONOO-に変換されることを暗示している。すなわち、生体は呼吸をしている限り活性分子種同士の非酵素的反応によって、組織傷害の危機に瀕していることを意味する。これがRedox制御の破綻に伴う個体の老化と疾病の誘発にかかわっているのかもしれない。
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