脳波基礎律動にみられるθ 波とα 波のgenerator について―脳波の発達のschema との関連で―
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概要
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知的障害児に関する生理心理学的研究は知的障害児の脳波基礎律動の分析的研究から始めた。当時の知的障害児脳波の特徴として,(a)α 波の低周波数化,(b)θ 波の顕著な出現,(c)不規則・不安定な脳波の出現,(d)顕著な個人差が指摘されていた。知的障害児や健常児の脳波を横断的及び縦断的研究から脳波の発達のschema を国内外で提案した。このschema は,従来のα 波周波数の連続的増加に対して,特定成分の交替を特徴とし,また特定成分を生起させるgenerator をそれぞれ有することになる。そこで,特にθ 成分とα 成分の特性の違いを明らかにすることにした。脳波のパワの変動性からθ 波とα 波のgenerator は異なり,かつθ 波のgeneratorはα 波に比べ頭皮上から一層深い位置に関連すると推測した。またθ 及びα 成分の出現の時間的相互関係,光刺激に対する応答性や部位間関係からも両成分の違いを明らかにした。これらから知的障害児脳波の特徴とされた所見のいずれも脳波の発達との関連でみられる特徴であることが指摘できた。結論的には,α 成分が低い周波数成分に対する抑制的役割をしていると想定した。
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