汎発性帯状疱疹を合併したハント症候群の1例
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概要
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ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウイルス (varicella-zoster virus : 以下 VZV と略) の再活性化によって発症するとされるが、時にウイルス血症を引き起こし汎発化する。比較的まれな汎発性帯状疱疹を伴ったハント症候群の 1 例を経験した。本症例では、皮疹は耳介部が最も重篤でかつ初発部位であり、耳痛や顔面神経麻痺の合併あることから、VZV 再活性化による耳性帯状疱疹がウイルス血症を起こし、糖尿病、悪性腫瘍の既往歴があること、74 歳、男性で比較的高齢であることなどを要因とした細胞性免疫の低下を背景に全身に播種したと考えた。また、重症である汎発性帯状疱疹であるため、アシクロビル点滴を検討したが顔面神経麻痺の治療効果については議論があり、安全性を考慮しバラシクロビル内服を選択したが麻痺の改善は遅延した。VZV 再活性化およびハント症候群のより詳細な病態解明と有効な治療法の確立が急務である。
- 耳鼻と臨床会の論文