当科における誤嚥防止術(喉頭気管分離術,喉頭全摘術,声門下喉頭閉鎖術)症例の検討
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概要
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難治性嚥下性肺炎に対する誤嚥防止術は、声を失うという不利益があるものの、嚥下性肺炎を予防し、経口摂取が可能となるという利点で非常に有効な手段である。しかし行っている施設はまだ限られているのが現状である。われわれは、小児から成人における難治性の嚥下性肺炎 26 例に対し、誤嚥防止術として喉頭気管分離術、喉頭全摘術および声門下喉頭閉鎖術を行った。術後の呼吸状態はいずれの症例においても良好であり、重症心身障害児の 1 例が一度肺炎に罹患した以外は全例で肺炎は消失し、呼吸状態は良好であった。経口摂取の獲得は成人例の全例で可能となり、そのうち 71 %で通常の食事が可能となった。重症心身障害児は原疾患によって嚥下機能の低下もしくは消失している症例が多かったことや、複雑な家庭環境などが原因で一部の症例では楽しみ程度の経口摂取にとどまったが、安定した呼吸状態が得られたため、全例で在宅や施設での生活が可能となった。誤嚥防止術は安定した呼吸状態が得られる点と症例によって差はあるものの経口摂取が可能となる点において、有用な術式である。
- 耳鼻と臨床会の論文