初診時原発不明頸部転移癌を疑った症例の検討
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概要
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1972 年から2004 年までに九州がんセンター頭頸科で入院時原発不明頸部転移癌を疑い一次治療を行った 81 症例中扁平上皮癌症例 51 例を対象に検討した。初回治療開始前に原発巣が判明した症例が 12 例 (24%)、初回治療開始後に原発巣が判明した症例が 9 例 (18%)、原発巣が最終的に不明な症例が 30 例 (59%) であった。判明原発巣は下咽頭梨状陥凹が 8 例、中咽頭口蓋扁桃が 7 例と多かった。転移リンパ節の個数は下咽頭癌で多く、転移リンパ節の大きさは上咽頭癌で大きい傾向があった。原発不明頸部転移癌の中で、初回治療開始後に原発巣が判明した症例の方が、最終的に原発巣が不明な症例に比べ、予後が良い傾向があり、初回治療前の原発巣の入念な検索が重要である。また、治療は頸部郭清術を施行した症例の 3 年生存率 (56 %) が、施行しなかった症例の 3 年生存率 (25%) より良好で、頸部郭清術による頸部転移巣の制御が重要である。
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