経回結腸静脈的塞栓術(Transileocolic obliteration:TIO)が有用であった難治性胃静脈瘤の一例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は 70 歳,男性.肝外門脈閉塞症の疑いによる門脈圧亢進症にて近医で経過観察中であった.検診の上部内視鏡検査で食道胃静脈瘤が発見され,当院にて内視鏡的硬化療法 (Endoscopic injection sclerotherapy: EIS) が繰り返し施行された.その後,経過観察中に大量吐血を認め,出血源は胃噴門部から穹隆部にかけての静脈瘤であった.内視鏡的治療に抵抗性であったため経カテーテル塞栓術が計画されたが,門脈および肝内門脈の走行異常が存在しており経皮経肝的静脈瘤塞栓術 (Percutaneous transhepatic obliteration: PTO) は困難であると考えた.胃静脈瘤の主な供血路は左胃静脈であり,開腹下に経回結腸静脈的塞栓術 (Transileocolic obliteration: TIO) を施行し胃静脈瘤の消失が得られた.TIO は,本症例の如く経皮経肝的門脈経由カテーテル法による静脈瘤塞栓術が困難な症例に対し有用な治療法と考えられたため報告した.
- 日本大学医学会の論文
日本大学医学会 | 論文
- SSPE麻疹ウイルスによる細胞融合能機能解析
- 閉塞性動脈硬化症例おける血管内皮前駆細胞の動態
- 下肢静脈瘤に対する術式の相違による神経障害の検討
- Paclitaxel と Trastuzmab の併用療法が長期間奏効した再発進行乳癌の2例
- 日大外科の手術力 : 2007年度外科学系手術統計