慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術―新たな手術分類とその評価―
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概要
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目的:現在の慢性副鼻腔炎に対する鼻副鼻腔手術名を見直し,定型的な内視鏡下手術の術式分類を作成し,標準化をめざすことにある。さらにそれに基づいた治療効果の客観的評価法(自他覚症状・所見,画像検査,嗅覚機能検査,鼻腔通気度検査)を確立する。方法:内視鏡下(鏡視下)手術をI型(副鼻腔自然口開窓術),II型(副鼻腔単洞手術),III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術),IV型(汎副鼻腔手術),V型(拡大副鼻腔手術)に分類した。新分類に対して日本耳鼻咽喉科学会専門医制度認可687施設に対してアンケート調査と各型の術前後の自他覚的機能評価を施行した。結果:アンケート調査の結果では約8割の施設がI~V型に分類するのは妥当と回答した。一方,手術分類と手術技術度との関係については,約3割の施設から異議が寄せられた。術後の自覚症状(嗅覚障害を除く)および内視鏡所見はすべての手術型で有意に改善した。CT画像でもII~IV型で有意な改善が認められた。嗅覚機能検査では,各型とも60%前後の改善率を示したが,術式によって有意な差は認められなかった。鼻腔通気度検査ではIV型のみ有意な改善が認められた。結論:新手術分類は,実際に施行されている内視鏡手術の術式分類として十分対応出来,術前後の自他覚症状の評価に有用であった。
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