副鼻腔悪性腫瘍に対する粒子線治療後壊死感染巣の内視鏡下除去術について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鼻副鼻腔悪性疾患に対する粒子線治療は高い局所制御率を示し,従来の治療法が行えない症例にとっては非常に有用な選択肢であることは疑いない。一方で治療後のフォローや合併症について対応に難渋することがある。しばしば経験されるのが壊死物質の存在や副鼻腔炎で非常に難治性である。このため炎症の眼窩・頭蓋や周囲骨への波及の可能性,FDG-PETなどのフォローアップの際に再発かの判断に困り対応が遅れる結果となりかねない。粒子線後の副鼻腔炎に対する治療方針,特に外科的治療の中心である内視鏡下鼻副鼻腔手術の技術を用いたネクロトミーに関する報告はほとんどない。そこで当科で経験した鼻副鼻腔悪性腫瘍炭素イオン線治療後の手術2例について報告する。症例1例は左上顎腺癌に対する炭素イオン線照射後副鼻腔炎の症例。照射約10ヵ月後に鼻性視神経症を発症し手術を施行した。健側の眼窩内側壁の骨欠損を認めた。症例2は右鼻腔腺癌の照射後副鼻腔炎で,高度の炎症のため再発の評価が難しいと判断し手術を施行した。照射後に患側眼窩内側壁骨欠損が生じていた。症例1・2ともに眼窩内側壁の骨欠損を認め術中に細心の注意が必要であった。以上の経験から,感染制御とフォローしやすい状態にするため内視鏡下鼻副鼻腔手術の技術を用いたネクロトミーによる早期介入が必要ではないかと考えた。
- 日本鼻科学会の論文
日本鼻科学会 | 論文
- 慢性副鼻腔炎鼻汁の成因とその対策
- アレルギー性鼻炎におけるリモデリングとその制御
- アレルギー性鼻炎を合併した小児急性鼻副鼻腔炎の治療
- 慢性副鼻腔炎における後鼻漏の原因とその治療
- 鼻・副鼻腔疾患の鼻汁過多における分泌細胞と炎症細胞の役割