重粒子線治療後に様々な合併症を来した鼻腔悪性黒色腫の一例
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概要
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鼻・副鼻腔腫瘍, 頭頸部腫瘍に対する重粒子線治療後の重大な合併症に関する報告は少ない。今回, 重粒子線治療後に様々な合併症を来した鼻腔悪性黒色腫の一例を経験した。症例は70歳男性, 鼻出血と左鼻閉を主訴に来院した。左鼻腔より鼻中隔を超えて右鼻腔に突出する白色腫瘤を認め, 組織診で悪性黒色腫と診断された。Magnetic resonance imaging (MRI) では, 左鼻腔から上咽頭に突出する, T1強調にて軽度高信号, T2強調にて軽度低信号を呈する腫瘤を認めた。18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography (FDG-PET) では, 鼻腔後部から左咽頭の腫瘤を中心に, 左上顎, 左耳下部, 左顎下部に高集積を認めた。重粒子線治療の適応と判断し, 兵庫県立粒子線医療センターにて重粒子線治療を行った。照射線量は, 原発巣に60.8GyE/16 fractions, 左頸部リンパ節に56GyE/8 fractionsであった。治療後, 原発巣ではCR (complete response), 左頸部リンパ節ではPR (partial response) を得た。一方, 治療2カ月後から2年間にわたり, 壊死により引き起こされたと考えられる様々な早期および晩期有害事象 (口内炎, 鼻出血, 副鼻腔炎, 眼窩内膿瘍) を経験したので報告する。
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