Pott's puffy tumor症例およびPott's puffy tumor様腫脹を呈した前頭骨再建後症例
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概要
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Pott's puffy tumor (以下PPT) は1768年にPercival Pottが初めて報告した疾患であり前頭洞炎の非常にまれな合併症の一つである。近年では抗菌薬の発達とともにPPTに遭遇する機会は少なくなり, 特に成人例は非常にまれである。今回我々は成人PPTの2症例を経験した。1例は基礎疾患に再生不良性貧血があり顆粒球減少を認め, 急性前頭洞炎と前額部腫脹をきたした症例であった。前頭洞ドレナージ手術と抗菌薬投与などにより良好な経過が得られた。もう1例は巨大下垂体腺腫のために複数回の手術既往があり, 人工骨 (レジン) による前頭洞再建を施されていた症例であった。レジンが感染源となったと考えられる難治性前頭洞炎をきたしており, 2度の鼻内手術ではコントロール不良であったため, 最終的には鼻外アプローチによるレジンの全摘出術を必要とした。2例目は古典的なPPTの定義とは異なるが, 類似した病態の症例であった。PPTは非常にまれな疾患ではあるが, 診断, 治療開始の遅れが重大な合併症を引き起こす恐れがあり耳鼻咽喉科医にとっては現在も留意すべき疾患であると考えられる。我々が経験した2症例について文献的考察を加えて報告する。
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