モンテルカストのスギ花粉症に対する初期療法の検討
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概要
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2009年1月から3月 (スギ花粉飛散累計総数: 4,289個/cm<SUP>2</SUP>) までに熊本県内10施設を受診したスギ花粉患者86名に対して, ロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA) モンテルカスト10mgによる初期療法を行った。モンテルカスト単剤で治療開始から飛散終了までの鼻症状をコントロールできた症例は35症例 (40.7%) であった。一方, モンテルカスト服用中にもかかわらず鼻症状が増悪した51症例 (59.3%) のうち, 他の薬剤を追加したのは34例, モンテルカストを中止し他の薬剤へ変更したのは17症例であった。モンテルカスト治療脱落群51症例のうち, 単独では効果不十分と感じた日を具体的に聞き取りができたのは48症例であった。そのうち22例は, 本格的飛散が認められる2月13日以前に鼻症状が増悪していることから, 少量花粉に対するアレルギー反応もコントロールできていないことになり, いわゆるLTRAに対するnon-responderである可能性が考えられた。次の24症例が脱落したのは, 最初の飛散ピークであった2月16日前後で, 2回目の飛散ピークであった3月1日前後の脱落は2症例のみであった。これらの結果から, モンテルカスト単独投与の初期療法により花粉飛散早期のピークを軽微な症状で乗り切ることができた症例では, そのシーズンを通して他の薬剤の追加投与なしで症状をコントロールできる可能性が高いと予測された。
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