炭酸ガスレーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術の長期治療成績
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概要
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医療用レーザーを用いた下鼻甲介粘膜焼灼術は, 多くの施設より良好な臨床成績が報告されており, 鼻アレルギーの手術療法としてほぼ確立した方法といえる。今回我々は, 通年性HD鼻アレルギー症例で炭酸ガスレーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術を施行し, 最終治療後5年以上の経過時における状態が評価可能であった35例について臨床成績を検討した。自覚鼻症状と重症度の改善度 (有効以上の割合) は, 治療後6ヶ月後でくしゃみ77.2%, 鼻汁62.9%, 鼻閉60%, 全体重症度では68.6%であり, 5年後でくしゃみ48.5%, 鼻汁54.3%, 鼻閉62.8%, 全体重症度では40%であった。このように鼻閉についての効果は持続した一方で, 鼻汁とくしゃみ症状については, 再増悪する傾向が認められた。またSymptom medication scoreは治療前の平均スコアが3.94に対して, 治療6ヶ月後では1.57, 5年経過後では2.54であった。レーザー焼灼術の長期予後に関する情報を提示できることはEBMの観点からも有益なものと思われる。今回得られた5年経過後における, 消失と著明改善を合わせた有効率40%と, medication scoreが0の割合65.7%, 効果持続の実感45.7%, という数値はそのひとつの参考になるものと考えられた。
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