熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯(ノンメタルクラスプデンチャー)の臨床応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本ポジションペーパーは,義歯床用の熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の呼称と定義を提案し,臨床適用への指針を示すことを目的とした.(公社)日本補綴歯科学会会員から,熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の臨床経験を有するエキスパートパネル14名を選出した.パネル会議で検討した結果,「義歯の維持部を義歯床用の樹脂を用いて製作したパーシャルデンチャーの総称」をノンメタルクラスプデンチャー(non-metal clasp denture)と呼称することとした.ノンメタルクラスプデンチャーは,樹脂と人工歯のみで構成される剛性のない義歯と,金属構造を有する剛性のある義歯とに区分される.剛性のないノンメタルクラスプデンチャーは,金属アレルギー症例などの特別な症例を除き,現在の補綴臨床の原則に照らし合わせ最終義歯として推奨できない.剛性のあるノンメタルクラスプデンチャーは,審美領域にメタルクラスプが走行することを患者が受け入れられない場合に推奨できる.ノンメタルクラスプデンチャーの設計は,原則的にメタルクラスプを用いた部分床義歯の設計に則したものでなければならない.熱可塑性樹脂の物性は材料によって大きく異なるため,各材料の特性を考慮して臨床適用する必要がある.全般的な特徴としては,アクリルレジンよりも変色,面荒れしやすく,材料によっては破折しやすい.現時点では,樹脂の理工学的性質と義歯の治療効果と術後経過に関する研究が不十分であり,今後これらの知見が集積され本ポジションペーパーの改訂とガイドラインの策定が望まれる.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
社団法人 日本補綴歯科学会 | 論文
- 臼歯部人口歯排列に考慮を要した総義歯補綴の1症例 : 術後7年経過症例
- 無歯顎症例における水平的下顎位と側頭筋前方部の筋膨隆との関係に関する研究
- 口蓋裂患者に対して可撤性局部床義歯を用いた補綴処置の一症例
- 咬合異常が発症因子と考えられる顎関節症の治療
- クラウンの保持力に関する研究 : レジンモディファイドグラスアイオノマーセメントのサーマルサイクルによる検討