短縮歯列における顎関節の動態
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概要
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目的:短縮歯列の抱える潜在的なリスクの有無を顎口腔機能の面から明らかにすることを目的とした.方法:被験者は片側性遊離端欠損患者20名(男性10名,女性 10名,平均年齢55.9歳)とした.歯科用X線C Tによる下顎頭の形態的変化の観察,6自由度顎運動測定装置による最大咬みしめ時における下顎頭の変位測定,および Visual analogue scaleによる口腔内に関する満足度調査を実施した.結果:1.20名の被験者中 7名において下顎頭の形態的変化を認め,このうち 5名の被験者では欠損側と同側の顎関節で観察された.2.最大咬みしめ時における下顎頭の変位方向はいずれも上方から前上方に集中していたが,変位量は欠損側のほうが非欠損側に比べて大きく変位する傾向にあった.3.口腔内に関する満足度は,発音と咀嚼の項目が総合的満足度に関与していることが判明した.また,咀嚼に関しては被験者の年齢との間に,咬合の安定と違和感に関しては短縮歯列の期間との間に,いずれも相関関係が認められた.結論:短縮歯列の抱える潜在的なリスクの一端を明らかにすることができた.その一方では,たとえ短縮歯列であっても,患者自身はその状況に満足してしまう傾向も明らかとなり,短縮歯列に対する補綴的介入を行う際の相矛盾した問題点が示唆された.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
社団法人 日本補綴歯科学会 | 論文
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