ガラスファイバー補強レジンを用いた歯冠修復物の破損に関する8年間の予後調査
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:筆者らは,ガラスファイバー補強型高分子材料に注目し,微細構造の観察および組成の解析を行った.その結果,臨床使用に耐えうる材料であると判断し,1997年より,臨床応用を開始した.しかしながら,経過観察中に,装着した補綴装置が破損をきたす例がしばしば観察されたため,破損についてのコホート研究に着手することにした.方法:1999年6月25日から2000 年9月7日までの1年3カ月間に愛知学院大学歯学部附属病院で装着されたタルギス-ベクトリス修復物を調査対象とし,その破損状態を調査した.結果:全73個中の35個(47.9%)で破損がみられた.修復物の種類別では,インレーは14個中6個(42.9%),クラウンは43個中14個(32.6%),ブリッジは16個中15個(93.8%)の比率で破損がみられた.Kaplan-Meier Product-Limit推定法による8年の生存率はインレー:57.1%,クラウン:69.0%,ブリッジ:6.7%と推定された.結論:臨床医は,新しいコンセプトや技術により開発された材料を短絡的に使用するのではなく,長期間の予後観察を経て安全性・耐久性の確立された治療を行うべきである.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
社団法人 日本補綴歯科学会 | 論文
- 臼歯部人口歯排列に考慮を要した総義歯補綴の1症例 : 術後7年経過症例
- 無歯顎症例における水平的下顎位と側頭筋前方部の筋膨隆との関係に関する研究
- 口蓋裂患者に対して可撤性局部床義歯を用いた補綴処置の一症例
- 咬合異常が発症因子と考えられる顎関節症の治療
- クラウンの保持力に関する研究 : レジンモディファイドグラスアイオノマーセメントのサーマルサイクルによる検討