歯科用ポリメタクリル酸メチルレジンの細胞毒性作用機序に関する細胞生物学的考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
<B>目的:</B>本研究の目的は,歯科用ポリメチルメタクリレート(PMMA)即時重合型レジンの口腔粘膜細胞に対する細胞毒性と酸化ストレスとの関連性を示し,その毒性メカニズムを細胞生物学的,生体材料学的に考察することである.<B>方法:</B>ラット口蓋歯肉から採取された口腔粘膜細胞を歯科用PMMA即時重合レジン上,もしくは,培養用ポリスチレン上に播種した.播種24時間後に,フローサイトメトリーを用いた細胞活性試験とアポトーシスの生化学的マーカーの検出,細胞内総グルタチオン比色検定と細胞内活性酸素種(ROS)蛍光定量測定試験を行った.<B>結果:</B>ポリスチレン上の口腔粘膜細胞では85%以上が生存していたのに対し,PMMAレジン上で24時間培養された細胞の生存率は僅か0.2%だった.PMMAレジン上でみられた細胞死は全て細胞膜の破壊を伴ったのに加え,細胞死に至る細胞伝達経路で働く活性化カスパーゼ3/7の著明な増加がみられた.また同時に,PMMA上の細胞には,著しい細胞内ROSレベルの上昇と総グルタチオン量の低下が認められた.<B>結論:</B>PMMAベース歯科用即時重合レジン上に播種したラット口蓋歯肉由来の口腔粘膜細胞に,活性化カスパーゼの著名な増加と細胞膜崩壊を特徴とする著しい細胞死が引き起こされた.その細胞死の一因として酸化ストレスの関与が示唆された.これら結果は,歯科用PMMAレジンによる口腔粘膜細胞への壊滅的に強い細胞毒性の存在を証明し,またそのメカニズムを考察する一助となった.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
社団法人 日本補綴歯科学会 | 論文
- 臼歯部人口歯排列に考慮を要した総義歯補綴の1症例 : 術後7年経過症例
- 無歯顎症例における水平的下顎位と側頭筋前方部の筋膨隆との関係に関する研究
- 口蓋裂患者に対して可撤性局部床義歯を用いた補綴処置の一症例
- 咬合異常が発症因子と考えられる顎関節症の治療
- クラウンの保持力に関する研究 : レジンモディファイドグラスアイオノマーセメントのサーマルサイクルによる検討