多施設共同脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry; FSR)から見えてきた脳梗塞急性期の病態と予後
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概要
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われわれは,共通の診断基準や治療方針のもとに福岡県の脳卒中基幹病院を対象施設とする多施設共同脳卒中データベースを構築した.福岡脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry; FSR)は,同意を得られた発症7日以内の脳卒中患者の臨床情報,血漿,ゲノムの収集に加えてその後の予後調査を行う本格的な臨床疫学研究である.本研究では急性期脳卒中患者の発症登録による発症病態分析と要因解明を行うとともに治療成果の評価につながる研究を行い,本邦における脳卒中医療の基盤となるエビデンスを構築することを目的としている.平成19年6月に登録を開始して,平成22年2月までに入院した3,552例の患者の中で同意を取得しえた3,133例(88.2%)を前向きデータベースに登録した.また,後ろ向きデータベースには平成11年6月以降の対象症例5,515例の登録を行った.前向き登録症例の中で解析可能な2,950例の平均年齢は71.4歳,男性が1,877例と60%を占めた.2,441例が脳梗塞であり,その病型はラクナ梗塞633例(26%),アテローム血栓性脳梗塞565例(23%),心原性脳塞栓症547例(22%),分類不能例696例(29%)であった.危険因子の合併頻度は高血圧80.3%,糖尿病30.3%,脂質異常症45.3%,心房細動24.5%,飲酒37.9%,喫煙48.8%であった.脳梗塞各病型によって,各危険因子の合併頻度,入退院時の重症度や慢性期の再発率・ADLの推移が明らかになった.FSRでは2,000項目に及ぶ臨床データを集積しており,これらのデータを解析することで,脳梗塞の急性期病態や慢性期予後の解明に有用であると考えられた.
- 一般社団法人 日本脳卒中学会の論文
一般社団法人 日本脳卒中学会 | 論文
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