動脈硬化プラーク活動性をFDG‐PETで評価しうるか
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概要
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炎症は, 脳梗塞や心筋梗塞の原因となるプラーク不安定化や破綻の誘因である. 現在, 個々のプラーク活動性すなわち炎症を非侵襲的に評価する方法はない. FDG-PETは糖代謝の亢進した炎症細胞を描出しうる. そこでPDG-PET/CTを用いて, 頸動脈プラークの炎症を描出しうるか, プラーク炎症の危険因子は何か, スタチンによってプラーク炎症を治療しうるのかを試みた. 1. 頸動脈硬化スクリーニング目的で頸動脈エコーをうけた無症候患者連続100症例にPETを施行. PET画像とCT画像をfusionさせることで, FDG取込みが頸動脈壁・プラークに一致することが確認された. 頸動脈へのFDG取込みを, プラークを有する41例中12例 (29%) に認めた. 2. がん検診連続216症例で頸動脈FDG取込みを定量化し, 動脈硬化危険因子について多変量解析した. FDG取込みは, body mass index, 平均内膜―中膜厚, HOMA-IR, 血中CRPと正相関し, HDLと逆相関した. またメタボリック=シンドローム (MetS) 危険因子数の増加とFDG取込みが有意に相関した. 3. がん検診でPETをうけ頸動脈・大動脈にFDG取込みを認めた連続43症例を食事療法単独群, 食事療法+シンバスタチン投与群にランダム化, 3カ月後にPETを再評価したところ, シンバスタチン投与群21例117病変中68病変 (58%) でFDG取込みが減少したが, 食事療法単独群では22例123病変中24病変 (20%) と変化しなかった. このスタチンによるFDG取込み減少は, HDL増加率に相関したが, LDL低下率には相関しなかった. 以上のことから, FDG-PET/CT法は個々のプラークのリスク層別化, プラーク安定化療法の治療効果評価を可能にすることが示唆される.
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一般社団法人 日本脳卒中学会 | 論文
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