救急医が初療を行った非外傷性鼻出血症例の検討
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概要
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鼻出血患者が救急受診する頻度は高いにもかかわらず,救急外来を受診する鼻出血患者を対象とした疫学検討は少ない。当院では救急搬入された鼻出血患者に救急医が初期研修医とともに対応し,必要に応じて耳鼻咽喉科医へ診療依頼を行っている。そこで,当院へ救急搬送された非外傷性鼻出血患者の患者背景,耳鼻咽喉科医に診療依頼を要した患者の因子,経過中にショックに至る患者の危険因子を検討し,救急医が初期診療を担う当院における診療方針の安全性と耳鼻咽喉科医の労務軽減に寄与しうる可能性を検討することを本研究の目的とする。対象は2012年1月から10月までに当院へ救急搬入された非外傷性鼻出血症例であり,診療録から後方視的に情報を抽出して検討した。その結果,対象は208例集まった。男性,高齢者が多く,覚知時刻は時間外(17時-8時)が多かった。搬送所要時間は3分から55分,中央値は20分であった。止血困難による耳鼻咽喉科への診療依頼は31例(14.9%)で,抗凝固薬または抗血小板薬の内服が多い傾向が認められた(32.3% vs. 16.6%,p=0.054)。9例(4.3%)がショック,11例(5.3%)が入院を要し,197例は帰宅した。帰宅後24時間以内に非外傷性鼻出血のために再度救急搬送された症例は3例であった。以上の内容より,救急車搬入された鼻出血患者を救急医が診療することの安全性は保たれており,耳鼻咽喉科医の労務軽減に寄与しうると考えられた。また出血性ショックを来す患者が含まれていることを考慮すれば,救急医の関与により患者利益が生まれうると考えられた。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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