当院における門脈ガス血症8例の臨床的検討
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概要
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【背景】門脈ガス血症(hepatic portal venous gas: HPVG)は全層性腸壊死(以下,腸壊死)の存在を示唆する予後不良な徴候とされるが,近年,高分解能CTの普及により非腸壊死例においてもHPVGの検出感度が高まり,保存的治療が奏功したとする症例も報告されている。従ってHPVGを診断した場合,症例毎に原因に応じた適切な治療を行う必要があるが,腸壊死の有無を正確に診断することは時に困難である。【目的・方法】HPVG例の適切な治療方針を探るため,当施設で2009年4月より2013年3月までにCTでHPVGが認められた症例を対象とし,転帰に加え,臨床・検査所見などの臨床的特徴と腸壊死との関連について後方視的に検討した。【結果】HPVG例は12例あり,心肺停止例を除外した結果8例が抽出された(年齢中央値62.5歳,男女比5:3)。腸壊死は4例で,反跳痛(p=0.029),動脈血base excess値(p=0.039),CRP値(p=0.025)が腸壊死と有意に関連した。HPVG量と腸壊死に有意な関連はなく,非腸壊死例の中には保存的治療のみでHPVGは速やかに消退した症例もみられた。死亡は腸壊死例1例のみであった。【結語】本検討におけるHPVGに占める腸壊死の割合は50%であった。少数例の検討であるが,HPVGの存在や診断時のHPVG量と腸壊死に有意な関連はなく,反跳痛所見,動脈血base excess値,CRP値が腸壊死有無を判断する上で重要であり,これらに異常所見がなく,全身状態が安定した症例においては,保存的治療が選択できる可能性が示唆された。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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