急性期病態から回復後に顕在化し,治療に難渋した嚥下障害の2例-気管カニューレの影響とvideo fluorogramによる評価について-
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概要
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異なる病態下で嚥下障害が持続した2症例を経験したので報告する。症例1(17歳の女性)は,C5レベルの頸髄損傷に対して第1病日に頸椎前方固定術を行った。受傷後約40日の人工呼吸器離脱期に自らの唾液の嚥下困難感から,嚥下障害が判明した。56病日に人工呼吸器から離脱し,67病日に酸素投与が不要となったが嚥下障害は持続した。症例2(67歳の男性)は,頸部壊死性筋膜炎および下行性壊死性縦隔炎に対して経皮的カテーテルドレナージを施行した。ドレナージ治療に約50日を要し,66病日に気管切開を行った後,人工呼吸器からの離脱期に嚥下障害が自覚された。2症例はいずれも意識障害を全く伴わずに経過し,人工呼吸管理からの離脱中に嚥下障害が顕在化し,それが持続したため,いずれも気管切開を受けた。嚥下障害の機序と程度を評価するために,ビデオ嚥下造影を経時的に行った。ベッドサイドでの嚥下訓練を連日行い,問題なく嚥下可能となったのはそれぞれ125病日,150病日頃であった。気管カニューレの選択はいずれの症例においても,カフ付きカニューレ→カフなしカニューレ→気管ボタンの順で行った。経鼻胃管は2例とも気管ボタン抜去時期まで留置した。カフなしカニューレに変更してから嚥下障害が改善するまでの期間はそれぞれ,約45日,17日であった。嚥下障害の症状は,急性期の重症患者管理において必ずしも重要度が高いと認識されていないが,とくに気管切開例においては嚥下障害が潜在し,それが遷延する可能性があることに留意すべきである。障害が持続する場合には,ビデオ嚥下造影などの機能評価と病態に応じたリハビリが有用である。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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