エンドトキシン誘発腸管弛緩反応の作用機序-覚醒モルモットを用いた<I>in vivo</I>実験研究-
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概要
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我々は敗血症の病態の理解および治療に関連する基礎実験を行っている。Lipopolysaccharide(LPS)に対する個体の反応性と実験手技の簡便性の観点から,モルモットのエンドトキシン血症モデルを用いている。我々はとくにLPS投与後に腸管麻痺が起こることに着目した。モルモットエンドトキシン血症モデルでは,LPS刺激後2-3時間で腸管弛緩反応のピークが観察される。この2-3時間に至る間にモルモット生体内では様々な炎症応答反応が進んでいる。その中のシグナルカスケードで腸管弛緩反応を来たすものを想定し,いくつかの作動薬および阻害薬を用いて,腸管弛緩作用機序を検討した。用いた薬物は,作動薬として内因性カンナビノイドのanandamide, 2-arachidonoilglycerol,阻害薬としてLPSを吸着するpolymyxin B固定化カラム,TLR4阻害薬であるTAK-242,CB1受容体阻害薬のAM281およびrimonabant,COX-2阻害薬のmeloxicamである。実験の結果,カンナビノイドを外から動物に投与すると,LPS投与と同様の腸管弛緩反応が認められた。阻害薬の前処置によって,LPS誘発腸管弛緩反応は,いずれも有意に抑制された。これらの結果から,腸管弛緩反応に関与するメディエーターとして,内因性カンナビノイド,アラキドン酸代謝物が考えられた。そしてPMXやTAK-242がより有効であったことから,原因物質を初期段階で除去することが,最も効果的であることが明らかとなった。実際の敗血症患者に対して治療を行う際,障害の背景に上記のメディエーターが作用していることを踏まえる必要がある。しかし,各メディエーター制御のみでは状態の改善は得られないことが,過去の研究より示されており,これらを組み合わせた治療が必要であると思われる。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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